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こじきがくせい
乞食学生
「若草」1940(昭和15)年7~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,682 字 · 68 页
第六回
君たちが、も少し強かったら、それは安心して叱りとばしてやる事も出来るんだ。君たちさえ、――」
「水掛け論だ。」佐伯は断定を下した。「くだらない。そんな言い古された事を、僕たちは考えているんじゃないよ。しっかりした人間とは、どんなものだか、それを見せてもらいたいんだ。」
「そうですね。」熊本君は、ほっとした顔をして、佐伯の言を支持した。「酒を飲む人の話は、信用出来ませんからね。」と言って、頬に幽かな憫笑を浮かべた。
「僕は、だめだ。」そう言って、私には、腹にしみるものが在った。「けれども僕は、絶望していないんだ。酒だって、たまにしか飲まないんだ。冷水摩擦だって、毎日やっているんだ。」自分ながら奇妙と思われたような事を口走って、ふっと眼が熱くなり、うろたえた。
第六回
「青年よ、若き日のうちに享楽せよ!」
と教えし賢者の言葉のままに、
振舞うた我の愚かさよ。
(悔ゆるともいまは詮なし)
見よ! 次のペエジにその賢者
素知らぬ顔して、記し置きける、
「青春は空に過ぎず、しかして、
弱冠は、無知に過ぎず。」(フランソワ・ヴィヨン)
むかし、フランソワ・ヴィヨンという、巴里生まれの気の小さい、弱い男が、「ああ、残念! あの狂おしい青春の頃に、我もし学にいそしみ、風習のよろしき社会にこの身を寄せていたならば、いま頃は家も持ち