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ふたつのじょぶん
二つの
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『二つの』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二つの序文、『団栗』のことなど、詩人への註文、樹氷の科学、救われた稀本、大雪山二題、小さい機縁、天地創造の話、農業物理学夜話、防寒戸、雪は資源である、アメリカの沙漠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 页
北海道でほとんど放置の状態にあるあの荒漠たる泥炭地の開墾にも、同じような例が見られる。泥炭地の耕作には、地温の上昇をはかるのが一番早道だということであり、地温の上昇ならば、これは少くとも手の付け得る問題である。
融雪の促進、水田水温の上昇、泥炭地地温の上昇などという風に、問題を抜萃してみると、これは農業物理というよりも、むしろ純粋な物理学の問題である。これ等の問題の解決が出来れば、天候をある意味では立派に支配したことになる。
ついでながら、濃霧地における日射不足の問題も、全く初めから匙を投げたものでもない。昨年の夏根室で行なった霧の綜合研究の中に、中央気象台の三宅博士の霧中における太陽紫外線強度の測定がある。その結果によると、太陽紫外線は案外よく霧を透すので、平均してあの程度の海霧でも、だいたい五割くらいは地上に達している。もし紫外線と作物品種との関係が十分よく調べられたら、あとは地温の上昇をはかることなどによって、科学的な根拠をもった適作品種を選定することも可能であろう。そういう巧いものはないかもしれないが、初めから棄てたものでもないような気もする。