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ふたつのじょぶん
二つの
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『二つの』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二つの序文、『団栗』のことなど、詩人への註文、樹氷の科学、救われた稀本、大雪山二題、小さい機縁、天地創造の話、農業物理学夜話、防寒戸、雪は資源である、アメリカの沙漠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 页
特にソ連の方がこの問題には興味を持っているらしく、イリーンの通俗書などにも、沙漠の緑化、人工降雨、ヴォルガの改修などが、よく採り上げられている。しかしこの種のやり方は、当然大土木工事を伴なうので、差し当って我が国で直ぐ真似るわけには行かない。それでもう少しつつましやかなやり方を考えてみよう。
今年の北海道の米作が、余りにもひどい結果に終り、日々の配給でその被害を受けているので、その例について考えてみることにしよう。今度の農業物理研究所の試験水田の候補地として考えている水田などでは、八月の末に穂が出て、それがぴんと立ったままで霜の時期に入り、収穫は皆無に近かった。稲の穂孕み時に、花粉が成熟して正常に結実するに要する気温の最低限界は、十三度から十五度くらいの範囲という話である。いくら冷害の年だといっても、七月末から八月上旬にかけて、気温が十三度以下ということは滅多に無い。それならばちょうどその時期に穂が出るように稲を育て上げればよいわけである。北海道の標準気象状態は分っているので、まず標準状態について考えるとして、稲の性質が分って居れば、その時期に穂が出るには、何時頃田植をすればよいかという計算は出来るはずである。