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ふたつのじょぶん
二つの
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『二つの』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二つの序文、『団栗』のことなど、詩人への註文、樹氷の科学、救われた稀本、大雪山二題、小さい機縁、天地創造の話、農業物理学夜話、防寒戸、雪は資源である、アメリカの沙漠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 页
それよりもっと寒くなると、却って着氷は起きにくいとされていた。もっともアメリカの定期航空の実例では、零下二十数度という寒さの時に着氷が起きたという記録もあるので、比較的の話である。あまり寒くなると、過冷却した水滴の量も少いし、その外まだ確めることの出来ない原因のために着氷はあまり起らない。最も恐ろしい気象の条件は、零度に近いところから、零下八度くらいまでの間であって、そういう時に霧が濃いと一番危険であるという風に思われて来た。
しかし最近、といっても戦時中の話であるが、着氷の研究が進んで、風速すなわち飛行機の速度の影響がだんだん分って来た。それは著しい影響があるのである。そうすると、飛行家にとっては、すこぶる厄介な問題となって来る。飛行機がとび立つ前、地表にあるものには天然の風しか吹かない。したがってそこでは着氷は起きない条件である。こう思って飛び出して行くと、飛行機だけには着氷が起る。そういう最も意地の悪い場合もあり得るわけで、そうなると、よほど用心をしなければならない。
風の問題は大問題であるが、それが最近まであまり研究されなかったのは、実験が困難だったからである。