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ふたつのじょぶん
二つの
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『二つの』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二つの序文、『団栗』のことなど、詩人への註文、樹氷の科学、救われた稀本、大雪山二題、小さい機縁、天地創造の話、農業物理学夜話、防寒戸、雪は資源である、アメリカの沙漠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 页
というものが計画された時に、そのうちの一冊として書き始められたものである。全集編輯者の調べられたところによると、大正九年(一九二〇)十一月十二日に稿を起し、予定の三分の一余りのところで中止されて、未完結のまま残されていたものである。先生にこういう意図があったことは、初めは誰も余りよく知らなかったようである。
大正十五年の秋ごろかと思うが、理研で先生の助手をつとめていたころ、よく毎晩のようにおそくまで、曙町の応接間でいろいろな話をきいたことがある。ある晩のこと、先生は日本の物理学界の現状と、研究者の心構えとについて、大いに気焔をあげられたことがあった。その時の話の中に「僕はそのうちに『物理学序説』というものを書くつもりだ。今はとても忙しいし、それにどうも差障りがありそうだから、今に六十になって停年になったら、一つそれを書いて、大いに天下の物理学者に、物理学というものはどういうものかを教育してやるつもりだ」というような話があった。
先生は大勢の人の前では非常なはにかみ屋であったが、二三人の弟子たちを前にして、実験室の中やお宅の応接間などで話をされる時は、よく「気焔をあげ」