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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
じぶんだけはやめようか。しかしそれはできない。そんなことをしたら、明日からだれも遊んでくれないかもしれぬと思った。のけものになるのはいやだ。だまってぬけだせたとしても、あとでおばんやお母さんに叱られるのもいやだ。
赤んぼなんぞ、なければよかった。
そう思うと、いつもはかわいい赤ん坊のタケシの顔がにくらしくなり、一日ぐらい、ほったらかしたくなった。彼女の足はきゅうにあともどりをし、畑のほうへ歩いていった。藪が見えだすと走った。だれかに見つかりそうで、どきどきした。
二時間後のことである。子どもについてまっさきに心配しだしたのはコトエのおばんであった。
「腹もへろうのに、なにこそしよるやら」
はじめはひとり言をいった。もどればタケシをコトエの背中にくくりつけておいて、おばんは畑へ二番ささげをつみにゆく手はずになっているのに、コトエは帰らないのだ。学校へ見にいったところで、今ごろいるはずもないと思い、赤ん坊と結いひもをもって、いちばん仲よしの早苗のところへのぞきにいった。てっきりそこで遊びほうけていると思ったのだ。
「こんにちは。うちのコトは、きとらんかいの?」