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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

鶴子はかなり息切れしていたからだ。

私の様子で私と鶴子とが顔見知りであることを召使は知ったらしく、鶴子と何かささやき合うと、私を見てニッコリした。

目の下には青い帯のような海と若緑の島と、尾道の市街とが横たわっていた。

支那人の召使は日本語で私に話しかけた。

「晴れて、小歌島がよく見えますこと」

「そうですね」

「あの向島の、一等高い尖った山何と申しましたっけ」

「高見山って言うんです」

「そう高見山……お嬢さま、うちの茶園はどこいらにあたりましょう」

鶴子は立って、端に出て来て指さした。「そこに、ほら女学校のポプラが見えるでしょう。あの横のところの、赤土の見える所がそうよ」

私は彼女と並んで立った。

彼の女は明るい色のフランネルを着て、やはりお下げであった。若葉をもれる光りで見ると、いつもの蝋色の頬には血がさしていた。

「※さんのお店はどこいらか知ら」

支那人の召使が私に言った。

「あそこの汽車のガードの少し下の、白っぽい西洋作り見たいな建物がそうです」

と私は答えた。

「ほんとに。屋根の上の、傘を三つつけた広告が見えてますわ」

と鶴子は私に指さした。

私は供の女が支那人なので、鶴子に話しがしかけ易い気がした。