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ばけいちょう

化銀杏

泉 鏡花

「文芸倶楽部」1896(明治29)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,197 字 · 54 页

青空文庫

するとお祖父さんのお計らいで、私が乳放れをするとすぐに二人とも追出して、御自分で私を育てて、十三の時までお達者だったが、ああ、十四の春だった。中風でお悩みなすってから、動くことも出来なくおなりで、家は広し、四方は明地で、穴のような処に住んでたもんだから、火事なんぞの心配はないのだけれど、盗賊にでも入られたら、それこそどうすることもならないのよ。お金子も少々あったそうだし。

雇いの婆さんは居たけれど、耳は遠いし、そんなことの助けにゃならず、祖父さんの看病も私一人では覚束なし、確な後見をといった処で、また後見なんていうものは、あとでよく間違が出来るものだから、それよりか、いっそ私に……というので、親類中で相談を極めて、とうとうあてがったのが今の旦那なの。

その頃ちょうど高等中学校を卒業したので、ま、宅へ来てから、東京へ出て、大学へ入ろうという相談でね、もともと内の緊りにもなってもらわなきゃあならないというんでさ、わざッと年の違ったのを貰ったもんだから、旦那は二十九で、私は十四。」

お貞は今吸子に湯をばささんとして、鉄瓶に手を懸けたる、片手を指折りて数えみつ。