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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

きっと人が英語を知らないと思って悪口をおっしゃったんだよ」

「愚な事を言わんで、早くあとを云うが好い。早く告訴をせんと品物が返らんぞ」

「どうせ今から告訴をしたって間に合いやしません。それよりか、オタンチン・パレオロガスを教えて頂戴」

「うるさい女だな、意味も何にも無いと云うに」

「そんなら、品物の方もあとはありません」

「頑愚だな。それでは勝手にするがいい。俺はもう盗難告訴を書いてやらんから」

「私も品数を教えて上げません。告訴はあなたが御自分でなさるんですから、私は書いていただかないでも困りません」

「それじゃ廃そう」と主人は例のごとくふいと立って書斎へ這入る。細君は茶の間へ引き下がって針箱の前へ坐る。両人共十分間ばかりは何にもせずに黙って障子を睨め付けている。

ところへ威勢よく玄関をあけて、山の芋の寄贈者多々良三平君が上ってくる。多々良三平君はもとこの家の書生であったが今では法科大学を卒業してある会社の鉱山部に雇われている。これも実業家の芽生で、鈴木藤十郎君の後進生である。三平君は以前の関係から時々旧先生の草廬を訪問して日曜などには一日遊んで帰るくらい、この家族とは遠慮のない間柄である。