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よっかのあやめ

四日のあやめ

山本 周五郎

「オール読物」文藝春秋新社、1954(昭和29)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,200 字 · 38 页

青空文庫

それは、猪狩りの五日のち、籠崎大洲の決闘が狩場の出来事として扱われ、御馬前に獲物を競ううち、不慮のことが起こって死傷者を出した、ということになった。

――かかる失態が起こったのは、日頃の不鍛錬によるもので、当人どもは追って沙汰のあるまで五家に預け、またその支配は十日、組頭は十五日の謹慎に処す。

こういう処置が公式に発表された。

これは藩主監物忠辰の意志によるものだそうで、罪を軽減するため、特に配慮されたものだと伝えられた。それで通次多仲が罰せられずに、追放処分になった理由もわかったし、「大洲のことを話してはならない」という禁令の意味もわかったのであるが、この発表があった翌日、主税介は城中で思いがけないことを聞いた。――彼は精明館の師範ではあるが、身分は馬廻りに属するので、非番でない限り一日に一度は登城して、支配の役部屋へ顔を出さなければならない。そのときの支配は中老の鈴木大学であって、これが謹慎を命ぜられたため、同じ中老の拝郷源左衛門が代役を勤めていた。

その日、役部屋へ出頭した主税介は、拝郷家に深松ら十一人が預けられていると聞いたので、挨拶を述べたのち、かれらのようすをたずね、いちど会わせてもらえまいかと頼んだ。