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よじげんひょうりゅう
四次元漂流
海野 十三
「子供の科学」1946(昭和21)年3月~1947(昭和22)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 页
四次元世界
雪子の姿がしきりに消えるときには、眼の残像現象の理により、雪子の姿と、雪子のかけている椅子の背中とが重なり合って、まるで雪子の身体がガラスのようにすいて見えるように感じられた。
「道夫さん。へんな顔をしているのね。分っているわ。あたしの姿がへんにぼやけて見えるからでしょう」
ぼやけているというのでもない――と道夫がいおうとしたとき、雪子はいきなり立上って、隅の机の方へ歩いていった。そしてすぐこっちへもどってきたが、手には紙と鉛筆とを持っていた。
何事かを説明するに、紙の上に書くつもりらしい。幽霊に文字が書けるであろうか。
四次元世界
「道夫さんたちの住んでいる世界は三次元の世界よ。分って」
雪子は道夫にきいた。
「分らないね」
「だって三次元よ。つまり、その世界にあるあらゆる物は、横と縦と高さがある。たとえばマッチの箱をとって考えると、横が五センチ、縦が四センチ、高さが二センチ位ね。つまり横、縦、高さという三つの寸法ではかられるものでしょう。人間でもそうだわ。横も縦も高さもあるわね。つまり三次元というと、立体のことなの。道夫さんの住んでいる世界は立体の世界なの。