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よじげんひょうりゅう

四次元漂流

海野 十三

「子供の科学」1946(昭和21)年3月~1947(昭和22)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 页

青空文庫

それは前回よりもずっと大きいはっきりした物音で、何か物がぶっつかったようで、それにぴいんと硝子の響くような音もまじっていた。

「早くいってみましょう。研究室へ……」

道夫が叫んだ。

「よし、いこう」

互いに相手を前へ押しやるようにして、一同はどやどやと研究室へなだれこんだ。

電灯がついた。道夫がそうしたのだ。

室内は明るくなった。一同は拳を固く握って、きょろきょろと各自のまわりを見廻した。

だが、何にも異状を発見することができなかった。

「いないぞ、どうしたんだろう」

「たしかに誰かこの部屋にいたんだが……」

いないとなると、一同は少しく元気を取り戻した。いない、誰もいない。研究室に隣合った寝室にも図書室にも、机の下にも戸棚の蔭にも、猫一匹ひそんでいなかった。

「いないぞ、変だなあ」

「でも、この部屋でたしかに人のいる気配と物音がした」

「あれはすぐ消えて見えなくなるのじゃないですか」

幽霊は――というのをさけて、あれはといった。

「あれが、あんな大きな物音をたてるというのはふしぎだ。あれは元来静かなもので、ただ自分がかぼそい声をだして、『恨めしや』とかなんとか……」