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よじげんひょうりゅう

四次元漂流

海野 十三

「子供の科学」1946(昭和21)年3月~1947(昭和22)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 页

青空文庫

事件は迷宮入り

「ああ分った。窓からでていったんでしょう」

「いいえ、窓も皆、内側から錠が下りていたのよ」

「じゃあ、研究室の外から鍵をかけて、でていったんじゃないかしら」

「ところがね、研究室の扉の鍵は、内側からさしこんだまんまになっているんだから、外から別の鍵をつかうわけにはいかないんですって」

「ふうん。それじゃ雪子さんは、煙になって煙突からでていったとしか思われませんね」

道夫は、ついにわけがわからなくなって、そんな無茶なことをいってみるしかなかった。

「さあ、煙突のことは、まだ聞かなかったけれどね、まさかあの煙突からはね……」

茶の間から植込と塀越しに、お隣の古風な煉瓦造りの赤いがっちりした煙突が見える。しかしあの煙突から雪子姉さんがでられるとは思われなかった。冬、石炭をもやすと煙が二条になってでてくるところから考えて、あの煙突の上は、あまり太くない土管が二つ平行に煙の道をあけているのに違いない。そうだとすれば、その土管は鼠か猫ならばともかく、人間が通り抜けることはできないであろうに。考えれば考えるほど、ふしぎな雪子学士の行方不明だった。

事件は迷宮入り

道夫にとっては、雪子学士が行方不明になったことは、この上もなく悲しく心配であった。