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よじげんひょうりゅう

四次元漂流

海野 十三

「子供の科学」1946(昭和21)年3月~1947(昭和22)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 页

青空文庫

一週間

声はしゃがれて、あとは紫にそまった唇だけがわななく。

「黄いろいスープがどうしたんだ。これ川北君」

課長が先生の方へかがみこんで、先生の左手をとって振った。その手は生きている人とは思われないほど冷たかった。

「……道夫君、道夫君、……あははは、君は心配せんでよろしい。先生が、先生が……」

川北先生はうわごとをつづけた。

「これは駄目じゃね。ねえ黒川君」

「重態ですな。注射と滋養浣腸をやってみましょう。明日の朝までに勝負がつくでしょうな」

「どっちだい、君の見込みは……」

課長の問に対して黒川医師は口でこたえず、首を左右へふってみせた。

「どうです。課長さん。その道夫君というのをすぐここへ呼んでやったらどうでしょうかね」

「なに、道夫を呼ぶ」

課長は気色のわるそうな顔をしたが、眼を転じて部下の一人へ眼配せした。

一週間

川北先生の生死が賭けられたその翌朝となった。

先生はやっぱり苦しそうな呼吸をつづけていた。だが先生の心臓はとまらなかった。

「黒川君。あの川北は危機をとおりぬけたのかね」

前夜から、川北先生と共に農業会で一夜を送った田山課長が黒川警察医にたずねた。