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よじげんひょうりゅう

四次元漂流

海野 十三

「子供の科学」1946(昭和21)年3月~1947(昭和22)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 页

青空文庫

奇妙な実験の準備

こんなことは御存じでしょうが……」

「そんな講義はもうたくさんだよ」

「うまくいけば今夜のうちにもでるでしょう、うまくいかなくても二三日中にはきっとでます」

「もしでなかったときは、どうする」

「そのときは僕を逮捕なさるもいいでしょう。木見雪子学士殺害の容疑者としてでも何でもいいですがね」

「よし、その言葉を忘れるな」

「忘れるものですか」

蜂矢は自信にみちた声とともに椅子から立上って、課長に別れをつげたが、ふと思いだしたように課長にいった。

「道夫君をかわいそうな母親のところへすぐ帰してやって下さい。あんなに病気にまでさせては人道問題ですよ」

蜂矢の眼に涙が光っていた。

奇妙な実験の準備

なんという大胆な賭事であろう。

蜂矢探偵は、かならず捜査課の室に雪子学士の幽霊を出現させてみせると、田山課長に約束したのであったが、蜂矢探偵は果して正気であろうか。課長を始め、課員の多くは、蜂矢探偵が一時かっとなって、そんな無茶な放言をしたのだろうと見ていた。だからその翌日になったら、探偵から取消と謝罪の電話があるだろうと予想していた。

だがその予想に反して、その翌朝、捜査課の扉を押して、蜂矢探偵が大きな包を小脇にかかえて入ってきたのには、課長以下眼を丸くしておどろいた。