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ちはゆたかなり

地は饒なり

宮本 百合子

「中央公論」1918(大正7)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,874 字 · 57 页

青空文庫

を知った。ひとりでに頭が下らずにはいられない尊い心の「点」を感じることが出来た。

けれども、却って、偉い人格という、漠然と心に出来ていた型はくずれて、無辺在な光明の微分子のうちに溶けこんでしまうのを感じたのである。

無辺在な光明……。

ほんとに彼女は、もう「偉い人というものは」などという言葉で考えたり探したりしていることは出来なくなってしまった。

偉大な人々の、実に数えきれないほどたくさんのそれ等の美点と美点とが、変化窮りない自由さと、力とにおいて、結合し、融合したときに発する光明の連続が、今、自分にこのような感動を与える。彼女は、彼等が、ただ正直な人間というものでもなく、意志の強いといわれるだけでもないことに気が附いたのである。

偉い人の力を捕えて、掌の中で解体し、それをまた組立て、放してやるようなことは、決して出来ない。

ただ、感じ得る者、いつも謙譲であり真面目であり、受け入れるだけの力のある者のみが感じ得るものであるのに、心附いたのである。

かように、彼女が近くへよって、よく視ようとした偉い人々は、却って広さと遠さの無限のうちへ飛翔してしまったけれども、まったく不思議なことには、何か偉大な魂を感じ得るものが彼女に遺されたのである。