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じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
「江戸川乱歩全集付録冊子 探偵趣味」平凡社、1931(昭和6)年5月10日~7月10日、9月10日~1932(昭和7)年1月8日、3月10日<br>メリー・ゴー・ラウンド以下「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,774 字 · 108 页
木島刑事は、治良右衛門の真面目な申出を鼻であしらった。
「犯人は園内のものに相違ありません。凡てが容疑者です。そして凡てが僕の親友です。実に困った立場です」
「まさかあなたのお友達を、ひっぱたいて、身体に聞くという訳にも行きませんしね。と云って証拠は皆無なのだから、実に面倒です。それもこれも、この迷路のお蔭ですよ。これさえなければ、犯人は大野さんに見られている筈ですからね。それにしても、あなたには、誰か疑わしい人物があり相なものですが」
「それが先日からも云う通り、不思議にないのです。ちま子は大人しい女で、敵があろうとは考えられません。強て考えるならば、好かれたからこそ殺されたのです。恋の叶わぬ恨みですね。併し、そうだとすると、園内でちま子を恋していなかったものは一人もないと云って差支えないのです。又ちま子が私以外の何人の愛をも拒絶したことも確です。随って園内の男は凡て容疑者ということになります」
話しながら、二三度あと戻りをしたけれど、流石に迷いもせず、迷路の中心に達した。
「オヤ、誰かいる」
一歩そこに踏みこんだ刑事が、びっくりして立止った。
「アア、湯本君、こんな所で何をしているのだ」