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じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
「江戸川乱歩全集付録冊子 探偵趣味」平凡社、1931(昭和6)年5月10日~7月10日、9月10日~1932(昭和7)年1月8日、3月10日<br>メリー・ゴー・ラウンド以下「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,774 字 · 108 页
木島刑事は云いながら、一枚の紙片を見せた。それには下手な字で、こんなことが書いてあった。
来る七月十四日、ジロ楽園カーニバル祭の当夜、殺人遊戯の大団円が来るのだ。その夜残り少のメンバー達は、みなごろしになる。血みどろの大夜会、殺人縁日のお祭り騒ぎが、どんなにすばらしいか。考えてもゾクゾクする。誰にも云っちゃいけない。地獄の秘密だ。人外境の大秘密だ。
「あなた、宗助の筆蹟をご存じですか」
刑事が尋ねた。
「知ってます。併し、これは態と乱暴な書体で書いてあるので、果して宗助のだかどうか、よく分りません」
治良右衛門が答えた。
「この、ジロ楽園カーニバル祭っていうのは本当ですか」
「本当です。こんな殺人騒ぎが起らない前、同好の紳士淑女百人余りに招待状が出してあるのです。この騒ぎでは中止しなければならないかと思っていたのです」
「フン、それにしても、そんな賑かな夜を選ぶなんて、犯人の気が知れませんね」
刑事はやっぱり現実的な考え方をした。
「僕には分る様な気がしますね」治良右衛門は、なぜか薄笑いを浮べ、刑事の顔を覗き込む様にして、舌なめずりをしながら云った。「今までのやり口でも分る様に、犯人は恐ろしい殺人狂なのです。