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ゆめはよびかわす

夢は呼び交す

蒲原 有明

――黙子覚書――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页

青空文庫

そこには無礙の混雑と不定の整調、

鵠の鳥の光明の胸毛――その断片。

見えざるちからはいつも断片を溺愛し、

恋ひ焦れ、引裂き、うちり、統合す――

残酷な荘厳、そしてまた陶酔の妙音。

真我の極へ、中心へ、虚空を押移りつつ、

無数の雲の鱗がひたすらに燃えてゆく。

こんな詩句を昔書いたことがある。今においてもその思想に変りはない。わたくしはわたくしの魂を粉にくだくのである。

つまるところ、焦土の灰から更生し出現したわが身であり作品であってみれば、そしてそれを一個の焼けただれた壺として見れば、その壺のおもてに、わたくしはあの深重な肉霊の輪廻をまざまざと知覚するのである。死灰から更生した壺の胴まわりには怪獣と夢想の花のアラベスクが浮きだされている。円環はつながってはてしもない。凝視すればするほどその壺は廻転の速度をすすめる。

われも又さながらにその壺に入る、

壺に入り、壺に収まり、壺となり、壺と目醒む。

火に媚びる蜥蜴と殻を脱ぐ人魚の歌と、

日々夜々に爆発する天体の烽火と、

それ等はすべて壺に。われは壺を凝視す。

輪廻の車は妄執の業によって永劫にめぐりめぐる。人間なればこそ、生物なればこそ、わたくしはそこに僅に永遠の消息を知り、それをよりどころとして、わたくしの信念は連続する。