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おんなはおなじものがたり
女は同じ物語
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1955(昭和30)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,279 字 · 44 页
と要平は云った、「あれなら悪いのはおれじゃない、駕籠辰はいつも茶庄で飲むが、勘定というものを払ったためしがないんだ、いや、おれだって少しは溜まってるさ、しかしやつのはまるで無法なんだよ、それでおれは茶庄の代理として」
「たくさんだ、支度をして抜け」と広一郎が云った、「理由は勝負のあとで云ってやる、早くしろ」
「どうしてもか」
「村田が立会い人だ」
要平はにっと笑った。軽侮と嘲弄のこもった、いやな笑いである。彼は広一郎と三郎助をじろっと見た。
「ふん」と要平は唾を吐いた、「城代の伜だから下手に出てやったが、おまえさん本当におれとやる気なのか」
「諄いぞ、抜け」
「斬られても文句はないんだな」
「村田が証人だ」
要平はそっちを見た。三郎助は「そうだ」と頷いた。
「よしやってやろう」と要平は云った、「おまえさんは江戸へいっていて知らないだろうが、おれは家中でもちょいと知られた腕になってるんだ、そのつもりでかかれよ」
「支度はいいのか」
「相手がおまえさんではな」要平はまた唇で笑った、「――いざ」
要平が「いざ」と云った刹那、広一郎の腰から電光が閃いた。もちろん、電光ではない、閃いたのは刀である。