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おんなはおなじものがたり
女は同じ物語
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1955(昭和30)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,279 字 · 44 页
「しかし」と竜右衛門は云った、「それは安永のほうへ聞えると、ちょっとぐあいが悪くはないかね」
「どうしてですか」
「むろんそんなことはないでしょうが」と竜右衛門は云った、「一郎はもう二十六歳であるし、若い娘などに身のまわりの世話をさせていると、万一その、なにかまちがいでも」
さわ女は「ああ」と良人をにらんだ。
「あなたはすぐにそういうことをお考えなさるのね」と彼女は云った、「きっとあなたはいつもそんなふうな眼で侍女たちを眺めていらっしゃるんでしょう、若い召使などがちょっと秋波をくれでもすると、あなたはもうすぐのぼせあがって」
「話をもとに戻そう」と竜右衛門は云った、「なにかそれにはわけがあるんですか」
「わたくしが仔細もなくなにかするとお思いですか」
「それもわかった」
「広さんは女は嫌いだと云い張っています」とさわ女は云った、「安永つなさんという許婚者があるのに、女は嫌いだと云って、いまだに結婚しようとはしません、これはわたくしたちがあまり堅苦しく育てたからだと思います」
「そういうことですかな」
「そういうことですかって」
「あとを聞きましょう」と竜右衛門は云った。