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おんなはおなじものがたり
女は同じ物語
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1955(昭和30)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,279 字 · 44 页
と云われましたよ。おまえもそう思うか。ええまあ、――それに相違ないんですからね、と広一郎が口ごもった。竜右衛門は苦笑し、その詮索はよしにしよう、と云った。
「まあ諦めるんだな」と竜右衛門は続けた、「それにおまえは、たいそうあの娘が気にいったらしいが、さっきも云ったように、結婚してしまえば、女はみんな同じようなものだ、安永の娘だって紀伊だって、――おれは紀伊のことはよく知らないがね、しかし結婚して妻になれば、どっちにしても同じようになるものだよ」
「しかし父さんは反対ではないのですね」
竜右衛門は頷いて、「母さんがよければね」と云った。
広一郎は母の部屋へいった。
こんどは問題がはっきりした。母は「いけません」と云った。
「あなたには安永つなさんという許婚者があります。そのうえ、あなたはやがて城代家老になる身ですから、町人の娘などを娶ることは許されません」とさわ女はきめつけた、「二度とそんな話は聞かせないで下さい」
「ですけれど、――」と彼は云った、「父上はいいと云われましたよ」
「お父さまにはあとでわたしが話します」とさわ女は云った、「――まだほかに、なにか仰しゃりたいことがおありですか」