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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

そして鏡台の横には、紅筆の立ててある脇に、小さなお人形とか、ファンから貰ったかあるいは貰った感じのなになにさん江と書いた可愛い薬玉とか、その他少女の好みそうな小さな玩具が、いかにも大事そうに置いてある。そこだけ見れば、――それぞれの少女たちがその狭い場所で、精一杯楽しい生活を築こうとしている、その可憐な美しさが、見た眼を打たずにはいないのである。

かくて私はそこの薄穢さに決して眉を寄せることはしなかった。といって、なまめかしさにひそかにニヤついたのでもなかった。私は何かもの悲しい気持になっていた。

――朝野が話しかけても、私は活発に返事をしなかった。すると、朝野は、

「早速、この楽屋風景をネタにするですか」

ネタにしようというわけで考え込んでいると取ったのであろう。

「それとも、――」と朝野はつづけて言った。「小柳雅子がいないので、憂鬱なんですか」

短いショウで、踊り子たちはやがてドヤドヤと楽屋に戻って来た。

そして私の眼の前で、平気で、例の羽衣のような衣装を脱ぐと、――いや、たとえ平気でなくても、部屋が丸見えのところにあつかましく坐り込んでいる私の眼から隠れて脱ぐことはできないわけだが、――踊り子たちは、冬だというのに汗をかいていて、ほとんど半裸にひとしい恰好で(すなわち踊りはいかに激しい肉体労働であるか