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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
だし自分でも相当図々しい女だとおもっているのにやっぱり駄目だ、――と言ったことがある。)
そうしたつるつるの素顔を、サーちゃんは、こっちに振り向けて、
「朝野さん、なんか会をやるんですって?」
「ああ、――誰に聞いた?」
「瓶口さんから」
そう言うサーちゃんと小柳雅子とは、似ても似つかぬ顔立ちなのに、私はサーちゃんの顔を見ていると不思議にそこに小柳雅子の顔をまざまざと思い浮べるのだった。
「瓶口さん、こう言ったわよ、その会にあたしたちを呼んで、芸者がわりにお酌をさせるんだって、朝野さんが言ってたッて。――いやだわ。そんな芸者のまねみたいなことをするの」
「そんなこと、おれ、言やしないよ」
しかし朝野は明らかにあわてていた。
その瓶口黒須兵衛と、あとで楽屋の入口のところで会った。
瓶口はりゅうとした洋服を着ていて、ピカピカ光った靴をはいていて、――その前に立つととみにみすぼらしく見劣りがする、汚い草履をはき汚い二重回しをきた私の肩を、瓶口は十年の知己のように親しげに叩いて、
「ねえ、先生」
「――は」
その世界では大概の人が先生と呼ばれる。文芸部員、振付師などが先生と呼ばれるのはまだいいとして、艶歌師あがり、声色屋あがりの漫才芸人などが小屋では幹部級というところから先生と呼ばれている。