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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

その通りは通称お菓子屋人道といわれ、軒並みお菓子屋だらけ、――お菓子を製造する家ばかりがその一画にかたまっている。このお菓子屋人道というのを私はながい間、お菓子屋新道をそうなまって言っているのだろうと勝手に思い込んでいたが、ずっと後になって、お菓子屋人(お菓子屋さん)の道というのだと知らされた。

まっすぐに行けば、国際通りに出るのだが、中途でなんとなく右に曲って合羽橋通りに出た。

「みんな、元気?」

と私はバーテンダーに言った。「すっかりごぶさたしているが、栄ちゃんなど相変らず元気かね」

栄ちゃんというのは、そこの喫茶ガールの一人の名である。と言っても、そこには女の子は二人しかいないが。

「栄ちゃんは、やめました」

「やめた?」

「百合ッぺに追い出されたようなもので……」

「ほう」

店では栄子の方が古参で、その百合子というのがまだ店へ入ったばかりの頃、栄子と百合子がこんな話をしているのを私は側で聞いたことがある。それを、ふと思い出した。

「――振り返ったのが、いけなかったのね、きっと。危いと思って、軒下の方へよけたんだけど、よけた方へ自転車がわざとのようにやってきて、ドシン!」