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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
お婿さんを早く貰いたい娘さんは入船と……」
以前はお酉さまの熊手は水商売客商売の人々しか買わないものらしかったが、今では普通の人たちも買っている。――我ながらうまい思いつきだと思ったが、金に結びついた縁起ものだから、ほんとうは意味をなさないのである。
「君は知ってやしないかしら」
と、私はドサ貫に言った。「熊手には入船と出船というのがあるんだってね。どういうのが入船で、どういうのが出船か……」
もう歳末のあわただしさを漂わしている新仲見世通りを私たちは歩いていた。私たちの間には、気まずい沈黙がずっと続いていた。それを破ろうための私の言葉であった。
――どういうのが入船で、どういうのが出船かは、お酉さまの晩、美佐子とも話し合ったことであった。美佐子は入船と出船があるということだけしか知らなかった。
熊手には宝船、的矢、玉茎、金箱、米俵、お多福面、戎大黒などが飾り付けてあるが、これが千差万別で、どれが出船でどれが入船か見たところではさっぱりわからない。熊手を買って聞いてみればいいわけだが、口あけの店で小さな熊手を買うのも気がひけ、「――宝船に何か区別があるのかもしれない。