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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
そりゃ、ひどいのもいる。あんたの前の女に負けないようなのもいるにゃいるが……」
血みたいな赤さの唇を歪めて、ドサ貫はものを押し潰すような気持の悪い笑い声を立てた。それは物体にたとえれば、いやな汁をいっぱいに含んだ海綿か何かのような笑いだが、私は柔かい海綿でなく固い石を発止と頬に打ちつけられた感じだった。鮎子に向けて投げられた石なのだが、私はそれをなぜか自分の頬に感じた。私のうちにむらむらと怒りが燃え立った。
「そりゃね、鮎子は悪い女だといえば悪い女だが、――」
私は何も鮎子を弁護したいわけではなかった。だがそうして怒りを吐き出していた。「悪い女には違いないが、また言ってみれば男が馬鹿なのさ。駄目なのさ。僕もその一人だが。――そして他の女だっても、馬鹿なのさ。駄目なのさ。それが鮎子を悪い女にしているところもあるんだと思う」
「――浅草の女は馬鹿ですね」
ドサ貫は噛みつくように言った。「でもその馬鹿なところがいいんじゃないですか」
「それはそうだが……」
私は何か愚かしくなって口をつぐんだ。
ドサ貫がなんで急に私に対して、彼みずからも言ったような脅迫的な態度に出るようになったのか、私にはわからなかった。