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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
第十二回 ふいなあれ
その井型の格子に結びつけられたおみくじが、ようやく迫った薄暮のなかにあざやかに白く光っていた。
第十二回 ふいなあれ
(浅草の踊り子たちはフィナーレをふいなあれと言う。)
浅草を愛する会といったものをやろうという話が、私と朝野光男の間で交されたのは、小柳雅子がK劇場の慰問団に加わって支那へ行くまだ前だったから、思えば十月のことである。それがずるずるに延びて、話がやっと具体化したのは、年があらたまって一月も半ばを過ぎた頃であった。
一月中旬のある朝、朝といっても昼近くだが、その頃はめったに泊らないアパートで寝ているところを、――そう言えば私は浅草へもあまり来なくなっていたが、朝野の来訪で起された。
頭をあげると、頭がキリキリと痛んだ。「こりゃ宿酔だ。昨夜泡盛を、そうだ朝野君に教えてもらった泡盛屋で飲みすぎて……」
日頃意気阻喪している私にしては珍しく友人と激論をして飲みすぎた。いや飲みすぎたために激論をしたのかもしれないが、アパートに泊ったのは飲みすぎのためである。
「宿酔は迎え酒をするといいですな」
朝野は何かうれしそうに黒い歯を剥き出した。「迎え酒をせんと、いかんですな」