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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

「滅茶苦茶だよ、倉橋君」大分酒が入っているらしい様子だ。

「どうしたんですか」私が後退りしながら言うと、

「どうしたも、こうしたも、――困るなア、こういう時にはちゃんと浅草にいてくれなくちゃ」

「どうもすみません。仕事をしてたもんで」

「仕事を? 仕事はアパートでするんじゃないんですか。アパートは仕事場に借りたんじゃないんですか。何か他の目的で借りたんですか」

ガミガミ言うのに私はむっとして、何も言わなかった。風の工合からか、道をへだてた真向うのT館から、賑やかなおはやしの音がかすかながら流れてくる。賑やかな、――でも何か佗しい音であった。末弘春吉はどうしているだろう。兎家ひょうたんなどという奇妙な名前の漫才芸人になったはいいが、お客を笑わせようとして、笑わすことができないで、自分ひとりでヒェッヘッヘッと笑っているのではないか。

「ねえ、どうしたもんですかね」

と、朝野は急にしょげた声で言った。「K劇場の主だった連中が、京都のS興行にごそりと引ッこ抜かれて、――K劇場では会どころの騒ぎじゃないんで」

「えッ?」と、私もたちまちあわてた。

朝野は私のあわてたさまを見て、元気を取り戻して、