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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

いやほっとしたので、憎まれ口を叩く元気も出たのだろう。私も、――私の意気消沈も、朝野のこの一撃でついに底をついた感じで、逆に不思議な元気が出てきた。その場かぎりの元気ではない。この半年ばかりずっと私が落ち込んでいた低迷状態からようやく浮き上ることができそうな、そんなありがたい頼もしいしんの感じられる元気であった。

「こんなざまじゃ、K劇場の連中が大挙して来た場合、それはそれでまた恥をかくところでしたな」

この朝野の言葉はもっともだった。

「では、はじめますかな」

朝野は女中に言うため立ちかけて、

「――実は今日、合羽橋通りで但馬に会ったですよ。もしかすると、あいつ、この会に来やしないかと思ったが……」

「ほう、但馬滋がね」

「彼のかみさんが、彼を東京へ呼び寄せたらしい」

「呼び寄せた?」

「但馬がそう言っていた」

朝野は私の顔をマジマジとみつめて、

「但馬に救いを求めたらしいですな。僕はちっとも知らなかったが、倉橋君は彼のかみさんにも触手を延ばしていたんだそうですな」

にもに力を入れて、

「姉妹二人に同時に触手を延ばすとは、いや達者なもんですな」

「朝野君」

「言葉が過ぎたですかな。