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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

てくる、知らないうちに彼女のなかに但馬が坐っている、そうしたことから来ているものと知らされた。)

「ええ、但馬はそういう人を、とても憎んでいたわ」

美佐子は彼女も但馬と同じ気持らしいのを語調に出してズケズケ言った。

「――但馬がもし浅草にいて、おたくに会って、おたくの猟奇趣味を知ったら、きっとカンカンに怒ったに違いない」

そう言われて、私はあわてた。私はいわゆる猟奇的な気持で浅草へ来ているのではないと、そこで弁解したが、しかし――浅草のアパートに部屋を借りたのは、仕事をするためという理由を立てているが、浅草を見る私の眼には幾分猟奇的なものがないと言えない。それだけに、そう言われると、浅草へ来はじめてからすでに半年経った現在、何か半分だけ自分が浅草の内部の人間のような気持になっている私として、但馬が浅草を猟奇的に見る外部の人間に対して憤怒と憎悪を持つというその気持は、私にわからないではなかった。だが私は、わからないような顔をして、美佐子に、どうして但馬さんは怒るのかと訊いた。但馬という人物に、私はとみに何か興味を覚えさせられた。見当のついている、但馬の怒るわけよりも、そうして美佐子から但馬の人柄を聞き出したい気持だった。