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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

第四回 落魄

たくなる頼りなさでしか響いてこないのであった。それは、この寒い、見捨てられたような場所を一層佗しくさせた。それはまたそこにいる私の気持をも佗しくさせ、何か心細いものにさせた。……

第四回 落魄

その夜、――なんだか妙に疲れて腑抜けみたいになって、私は大森の家へ帰るのが億劫になり、アパートに泊ることにした。まだ十二時前だったが、蒲団を頭からスッポリかぶって、だが頭が冴えて、ねつかれないでいると、やがてミシリミシリと階段を軋ませて三階へ誰か上ってくる音がし、その音が私の部屋の前でとまると、

「やあ、いるいる」

部屋に電気をつけたままだったし、スリッパが廊下に出ているので、それらが私の在室を告げるわけだ。(電気は、――暗くするとどこからともなく現われて来て私に噛みつく無法な虫の襲撃を防ぐためだったが、一度そいつらに腹一杯私の血を食わせてやってからは、それにもう寒くなったせいか、その頃はあまり出てこなくなっていた。)

誰かなと私が蒲団から亀のように首を出すと、部屋の外で、

「倉橋君。――勉強ですか」

ひどく嗄れた、そのため無理に発音するみたいな、早口に一句一句投げつけるその声で、朝野光男とわかった。