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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
――したがって本来なら、仕事ができそうもないと坐り込んでないで、できそうもないならできそうになるように盛り場の方へ行くべきところである。それが、私はできなかったのである。盛り場へ行っても、仕事ができるような心のコンディションを得られそうもない、それどころか、心がちぢに乱れ、精神がしどろもどろになってしまうことが、ちゃんとわかっていたからだ。
少し誇張して言えば、私は外へ出ても無駄だという以上に出るのが何か恐かった。といって、部屋にとどまっていても、そのうち精神が統一されようとも思われない。かくて部屋にいても、外へ出ても、どっちも駄目なら、いっそ家へ帰るのがいいわけだ。うすら寒い部屋に惨めな気持で坐り込んでいるくらいなら、家へ帰った方がいい。家だったらアパートと違って火がほしいと言えば、すぐ用意されるし、心も暖められるというものだ。ところがそれがまた帰れなかった。彼女のいる浅草にやはりとどまっていたかった。
彼女というのは、小柳雅子というレヴィウの踊り子。十七。……
「――いいなアというのは、どういうの。踊りが巧いという意味か。それともその子がいいという意味か……」