轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

に惹かれて、私は浅草へ来たのだ。私はそこで、民衆の群のなかに自分を置きたいと思った。(これも、いい加減な概念的なものだった。)――民衆の持っている素朴さ、率直さ、強靭さ等々で自分の神経を揉んで、ヒステリーを直したいと思った。だが……。

いや、こんな調子でしゃべらせておいたら、それこそ果てしのないおしゃべりを、私はこの辺で打ち切らねばならぬ。

――私は朝野に、仕事がうまく行かないと言った。すると、朝野はわが意を得たりといった顔で、

「浅草の空気は僕らにはいかんです」

僕らというのに特に力を入れて、断乎として、何か噛み付くみたいに言った。

「浅草は人間をぐうたらにさせて、いかんです。――浅草では、ふうッとしていても、生きて行かれますからね。こいつが、いかん」私の浅草生活が本格的になることは感心できないと朝野が言った意味がわかった。「――僕がいい例ですよ。全くもって、いい例だ。浅草に毒された、浅草の空気にすっかり台なしにされたいい見本ですわ」

朝野は煙草のやにで黒くなった汚い歯をむき出して笑った。――朝野は以前いい小説を書いていたが、この数年何も発表しなくなった。