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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

浅草で脚本なんか書いていたという……」知るわけはあるまいと思いながら、――それで話題を転ずる便宜として言ったのだ。ところが、

「但馬が浅草に現われおったのですか。――会ったんですか」

と朝野が眼を光らせた。

「いや、会ったわけではないんですが」

「そうだ、但馬はユーリイだ」

と、朝野がさえぎった。「――左翼崩れというのも、そっくりだ」

「左翼崩れ?」

「そうなんですよ。――僕は左翼が嫌いだから、その方のことをよく知らないんだが、但馬は左翼の芝居の方をやっていたらしい。――その時分、但馬はまだ学生で。しまいに、但馬は学校をやめて、芝居から政治運動の方にもいったらしいんですね。そいで左翼が駄目になると但馬は浅草へ転げ込んで来たんですわ。但馬としては、新しい生活を見出そうというつもりだったんでしょうな」

朝野はバットの口を噛んで、

「一体、左翼崩れ、――そうだ、この頃はもうこんな言葉は流行らんですな。すたったですな。転向者というんですかな。そんな連中には、どういうものか、妙に生活力の強い奴が多いですな。僕は左翼嫌いだから、そういう連中が、どうも虫が好かないが。ところが但馬は、――奴さん、左翼崩れの癖して、これがてんで駄目なんだ。