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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
自分でも、なぜ追われるように、海から海を渡って知らない国を旅するのか、わからない。しかしそうして心に「何か」を求めていることだけはわかるが、その「何か」がなんであるかわからない。いわばそのわからない「何か」を自分にわからせるために放浪しているようなものだ。碧眼の詩人は案外落ち着いた声でそう言った。
二人はそれから黙りこくったまま歩いていた。外国人の顔は激しい喧嘩のあとのように白ッちゃけ、赤いむらむらが皮膚の下に沈んでいた。
突然、横合いの道から、若い男女の華やかな笑い声が聞えてきた。青春の喜びをただもう謳歌しているような、明るい大胆な輝いた声に、外国人は頬に石でも投げつけられたような表情を見せたが、そうした顔の前に、颯爽と腕を組んだ若い男女が、――男は二十二三の艶々しい皮膚をした、外国人に負けない背のすらりと高い、肩はばも広い運動選手風の大学生で、女は十八九のこれも体格のいい、新鮮なピチピチした肢体で、――その二人が悪びれず、溢れるような若い生命の息吹きを吹きつけながら近寄ってきた。そして呆然と立った外国人の前で、くるりと背を見せて何やらまた楽しげに笑い興じながら、麗らかな陽のさんさんと降りそそぐ道を歩んで行った。