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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

桃色をした小さな小指が、食べてしまいたいような可愛らしさだった。

「肌、――そう言えば、小柳君はいい肌をしているね」

朝野は眼を細めて酒をチュウと飲み、

「まさに美肌だね」

そう言って、手にした効能書を無造作にグシャグシャと丸めてしまった。紙質のせいか、ひどく大きな音がした。

「とても、マーちゃんは肌が綺麗よ」

と、サーちゃんが手持ち無沙汰の指を鼻の穴にやりながら言った。

「裸だとすてきよ。真白でスベスベしていて……」

「――これはつらい」

「女の私だって惚れぼれするくらい」

雅子は顔を赧くしたが、別にとめだてしないで、その両頬を手で挟んで、テーブルに眼を落した。私も、うつむいた。

「あたしね、楽屋風呂でいつもマーちゃんの背中を流してあげるの。マーちゃんの身体を洗うの、とても好きだわ。綺麗な身体なんですもの」

すると突然、

「倉橋君」

と朝野が、かすれた声で遮った。「倉橋君は、伝法院の庭を知っていますか」

突拍子もないことを言う。だが、朝野が突拍子もなくサーちゃんの話を遮った気持は、私は何かわかる気がした。

「伝法院の庭というと……」

「庭園ですよ」

「庭園というと……」