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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
「おや、ぺん吸は?」
これは女中に――。はんぺんの吸物を注文してあった。
「はい、ただいま」
店は、ごった返しの混みようである。私たちは二階の隅に坐っていた。女中が去ると、
「お吸物があとになるナンテ、いやになっちゃうね」
そう言いながら、すでに釜の蓋をあけて、湯気の立ち上るなかに箸を入れて、早速一口やって、
「あッつつ」
眼を白黒させた。まるで飢えた犬が固い骨を持てあます時のような、滑稽であさましいその口の恰好に、
「まあ、おかしい」
サーちゃんが雅子の膝に手をやって、その膝をゆすぶってゲラゲラ笑った。雅子も、くすぐられたみたいに身体をよじらせて笑った。
――齢こそ若くても、踊り子の彼女たちは、もう立派な一人前の生活者である。だが、そうやって手を取り合って笑いこける二人は、無邪気な子供のようであった。生活ということなど知らない子供のような無邪気な笑いであった。
朝野は、しかしその笑いに気を悪くしたらしく、
「三枚目にされとるですな、僕は。――倉橋君は、ちょっとした二枚目で……」
と、私にあたる声だった。
そんな私たちの隣に、山の手から浅草に遊びに来たらしい、そう身なりはよくないが、おっとりした、感じのいい老人夫婦が、――二人でひとつのテーブルなのだから、向い合って坐ったらよさそうなものに、テーブルの角に、お互いに