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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

と言ったことがあるが、その友人などに言わせれば、私の想いなどはまことにとんでもないものとされるであろう。

その友人は、話が違うが、私たちにまたこんなことも言った。

「僕は安い一品料理のような女との恋愛は、もうたくさんだ。次々に違った皿が出てくる豪華な table d'hote のようなそんな豊富な感じの一流の女と恋愛がしてみたい」

あんまりうまい表現なので、その巧さに私たちはゲラゲラ笑ってしまった。それは、私たちみんなの気持をも言い当てていた。私たちの知っている、というより私たちの日常的に容易につきあえる範囲の女たちは、全くもって一品料理のように一目でもってその内容がわかってしまうような、そんな心の貧しい浅い痩せた「三流」の女たちであった。つきあえばつきあうほど豊かなものが感じられるといった女性を、私たちは知らなかった。

ところでその友人が、坐ってごはんが食べたいと言った時も、私たちは大きな口をあけて笑ったものであった。笑えない話なのだが、それゆえかえってそうしたのだろう。まずもって、言った本人が一番先にゲラゲラ笑い、一番激しく笑ったのである。

私の丼メシへの憧憬もしくはノスタルジアは、その友人の家庭的な食事に寄せるしみじみとした想いと比べると、これこそほんとうのお笑いの、お恥かしい、愚劣なもののようである