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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

「朝日新聞 夕刊」1962(昭和37)年4月1日~10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 页

青空文庫

と近所の人たちは云いあった。

「あの三人はなに者だろう、半助さんの友達かしらね」

「それならこれまでに見かける筈だな、友達ならさ」

かれらは心の中で察していた。この「街」の住人なら、そんなときぴんとくる考えはきまっているのだ。まもなく、島悠吉さんの隣りにいる博奕打ち、高名な「築正」親分のみうちだという徳さんが、かれらの推察に裏書きをした。

「あの三人は刑事さ」と徳さんは云った、「半助はいかさま賽を作る名人なんだってよ」

徳さんの云ったことを伝聞したたんば老人は、やさしい声でそっと笑った。

「刑事とはおかしいな」たんば老人は云った、「いかさま賽を作っていたにしろ、刑事が三人も来るなんてえことはないだろう」

「もしまた、いかさま賽を作っていたというのが事実なら」と老人はなお云った、「やって来たのは刑事ではないな、そのみちのしょうばいにんの手先だ」

つまり職業的博奕打ちが、いかさま賽でからきめにあったか、あるいは半助の賽が欲しいために、住所を捜し求めて来たか、どちらかであろうと老人は云った。

「すると、半助さんはどういうことになるんです」

「わからないな、私には」