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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:どんぐり、科学者と芸術家、旅日記から、竜舌蘭、花物語、芝刈り、球根、簔虫と蜘蛛、ねずみと猫、物理学と感覚、先生への通信、病院の夜明けの物音、病室の花、丸善と三越、自画像、春寒、春六題、田園雑感、写生紀行、笑い、案内者、断水の日。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 页
それを一ぺん庭の芝生の上にぶちまけて並べてみた。
一つ一つの虫の外殻にはやはりそれぞれの個性があった。わりに大きく長い枯れ枝の片を並べたのが大多数であるが、中にはほとんど目立つほどの枝切れはつけないで、渋紙のような肌をしているのもあった。えにしだの豆のさやをうまくつなぎ合わせているのもあって、これがのそのそはって歩いていた時の滑稽な様子がおのずから想像された。
なかんずく大きなのを選んで袋を切り開き、虫がどうなっているかを見たいと思った。竿の先の鋏をはずして袋の両端から少しずつ虫を傷つけないように注意しながら切って行った。袋の繊維はなかなか強靱であるので鈍い鋏の刃はしばしば切り損じて上すべりをした。やっと取り出した虫はかなり大きなものであった、紫黒色の肌がはち切れそうに肥っていて、大きな貪欲そうな口ばしは褐色に光っていた。袋の暗やみから急に強烈な春の日光に照らされて虫のからだにどんな変化が起こっているか、それは人間には想像もつかないが、なんだか酔ってでもいるように、あるいはまだ長い眠りがさめきらないようにものうげに八対の足を動かしていた。芝生の上に置いてもとの古巣の空きがらを頭の所におっつけてやっても、もはやそれを忘れてしまったのか、はい込むだけの力がないのか、もうそれきりからだを動かさないでじっとして