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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:どんぐり、科学者と芸術家、旅日記から、竜舌蘭、花物語、芝刈り、球根、簔虫と蜘蛛、ねずみと猫、物理学と感覚、先生への通信、病院の夜明けの物音、病室の花、丸善と三越、自画像、春寒、春六題、田園雑感、写生紀行、笑い、案内者、断水の日。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 页
つり橋のたもとの煙草屋を見つけて絵はがきと切手を買う。三銭切手二十枚を七十五銭に売るから妙だと思って聞くと「コンミッシォン」だと言った。
九竜で見たと同じ道普請のローラーで花崗石のくずをならしている。その前を赤い腰巻きをしたインド人が赤旗を持ってのろのろ歩いていた。
エスプラネードを歩く。まっ黒な人間が派手な色の布を頭と腰に巻いて歩いているのが、ここの自然界とよく調和していると思って感心した。
宝石屋の前を通ると、はいって見ろと無埋にすすめる。見るだけでいいからはいれという。自分の持っている蝙蝠傘をほめて、売ってくれと言う。売るのがいやなら宝石と換えぬかという。T氏の傘を見て This no good. というと、また一人が This good, but that the best. と訂正した。
いわゆる日本街を人力車で行った。道路にのぞんだヴェランダに更紗の寝巻のようなものを着た色の黒い女の物すごい笑顔が見えた、と思う間に通り過ぎてしまう。
オテルドリューロプで昼食をくう。薬味のさまざまに多いライスカレーをくって氷で冷やしたみかん水をのんで、かすかな電扇のうなり声を聞きながら、白服ばかりの男女の外国人の客を見渡していると、頭の中がぼうとして来て、真夏の昼寝の夢のような気がした。