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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:どんぐり、科学者と芸術家、旅日記から、竜舌蘭、花物語、芝刈り、球根、簔虫と蜘蛛、ねずみと猫、物理学と感覚、先生への通信、病院の夜明けの物音、病室の花、丸善と三越、自画像、春寒、春六題、田園雑感、写生紀行、笑い、案内者、断水の日。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 页
この勇気がなくてはとても今の世間をのんびりした気持ちでは渡って行かれないらしい。昔は命を的にしなければ、うっかり誤ってでも人の足も踏めず、悪口も無論言われなかった。私の血縁の一人は夜道で誤って突き当たった人と切り合って相手を殺し自分は切腹した。それが今では法律に触れない限り、自分のめがねで見て気に入らない人間なら、足を踏みつけておいて、さかさまにののしるほうが男らしくていいのである。そういう事を道楽のようにして歩いている人格者もある。それで私は自分の子供らの行く末を思うなら、そういうふうに今から教育しなければさきで困るのではないかと思う事もしばしばある。
「赤羽で今電気をたくところをこさえているが、それができるとはや……」こんな事を話している男があった。電気をたくという言葉がおもしろかった。日本語もこういうぐあいに活用させる人ばかりだったら、字を見なければわからないあるいは字を見ても読めないような生硬な術語などをやめてしまって、もう少し親しみのあるものに代える事ができそうである。国語調査会とかいうものでこういういい言葉を調べ上げたらよさそうに思われた。