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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:どんぐり、科学者と芸術家、旅日記から、竜舌蘭、花物語、芝刈り、球根、簔虫と蜘蛛、ねずみと猫、物理学と感覚、先生への通信、病院の夜明けの物音、病室の花、丸善と三越、自画像、春寒、春六題、田園雑感、写生紀行、笑い、案内者、断水の日。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 页
夜になると天井の丸太からつるしたランプの光に集まる虫を追いながら、必要な計算や製図をしたり、時にはビスケットの罐をまん中に、みんなが腹ばいになってむだ話をする事もある。
いつもよく学校のうわさや教授たちのまねが出てにぎやかに笑うが、またおりおり若やいだなまめかしいような話の出る事もあった。
こんな時藤野は人の話を聞かぬでもなく聞くでもなく、何か不安の色を浮かべて考えているようであるが、時々かくしから手慣れた手帳を出してらく書きをしている。
一夜夜中に目がさめたら山はしんとして月の光が竈の所にさし込んでいた。
小屋の外を歩く足音がするから、蓆のすきからのぞいて見ると、青い月光の下で藤野がぶらりぶらり歩いていた。
毎朝起きるときまりきった味噌汁をぶっかけた飯を食ってセオドライトやポールをかついで出かける。
目的の場所へ着くと器械をすえてかわるがわる観測を始める。
藤野は他人の番の時には切り株に腰をかけたり草の上にねころんだりしていつものように考え込んでいるが、いよいよ自分の番になると急いで出て来て器械をのぞき、熱心に度盛りを読んでいるが、どういうものか時々とんでもない読み違いをする。