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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

そして数年前に結婚して郷里に残してあった妻と、そこに始めて自分の家庭をもつようになった。

かの地に行ってからの生活については私はあまり多くを知らない。しかしそこでの亮はだいたいにおいて幸福であったらしく私には思われる。

交際という事には全く慣れず、あらゆる実務という事に経験もなく趣味もなかった亮の赴任当座は、ずいぶんいろいろ困る事が多かったろうという事は想像するに難くない。おそらくあらゆる失敗を重ね、それについてあらゆる苦痛をなめたろうと想像される。「自己の頭の間違い多きを恐れて、ますます間違いを生ず」という文句が入学式のあった日の日記にあるのも、そのへんの消息を語っているように見える。しかし格別の大失態というほどの事もなくて、後には教頭や舎監も勤めているのを見ると、そういう地位にでもどうにか適応するだけのものはやはり備えていたものと見える。亮の子供の時からの外見だけで彼を判断していた老人などは、そういう役目の勤まるのをむしろ不思議に感じていたらしい。

いつだったか、かの地からよこした手紙に、次のような意味の事があった。

今までは、何物にもぶつかるという事なしに、遠くからガラスの障子越しにながめるばかりで、それでいろんな事を空想しては恐ろしがってばかりいたが、今日ではもういやでも物にぶつからなければなら