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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页
この文は鹿持翁の筆なればおおよそ小百年前のことにして孕のジャンはこのほどの昔よりもすでにその伝があったことが知れる(後略)。」寺石氏はこのジャンの意味の転用に関する上記の説の誤謬を指摘している。また終わりに諏訪湖の神渡りの音響の事を引き、孕のジャンは「何か微妙な地の震動に関したことではあるまいか」と述べておられる。
私は幼時近所の老人からたびたびこれと同様な話を聞かされた。そしてもし記憶の誤りでなければ、このジャンの音響とともに「水面にさざ波が立つ」という事が上記の記載に付加されていた。
この話を導き出しそうな音の原因に関する自分のはじめの考えは、もしや昆虫かあるいは鳥類の群れが飛び立つ音ではないかと思ってみたが、しかしそれは夜半の事だというし、また魚が釣れなくなるという事が確実とすれば単に空中の音波のためとは考えにくいと思われた。ところが先年筑波山の北側の柿岡の盆地へ行った時にかの地には珍しくない「地鳴り」の現象を数回体験した。その時に自分は全く神来的に「孕のジャンはこれだ」と感じた。この地鳴りの音は考え方によってはやはりジャーンとも形容されうる種類の雑音であるし、またその地盤の性質、地表の形状や被覆物の種類によってはいっそうジャーンと聞こえやすくなるであろうと思われうるたちのものである。