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やねうらのはんにん

屋根裏の犯人

坂口 安吾

――『鼠の文づかい』より――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,887 字 · 14 页

青空文庫

お神隠し

明日はもう一周忌になるが、ほんとに惜しいことをしました」

妙庵先生これを耳にとめてフシギがり、

「して元日にどなたが死去されましたか」

「アラ。いいえ。とんだ歎きをお耳に入れましたが、私がいかに愚痴になればとて、人が死んだぐらいで、こう歎きは致しません。去年の元旦に妹が年賀に参りまして、銀一包みお年玉にくれましたが、あまりの嬉しさに神ダナにあげて拝んでおりましたのを、見ていた者がいたんですね。その夜のうちに盗まれてしまったのです。いろいろと諸神に願をかけましたが、その甲斐もなく、さる人の申されるには、山伏に祈ってもらうと七日のうちに必ず失せ物がでるとのことに、さっそく山伏を訪ねましたところ……」

こう云いかけてワッと泣きくずれてしまいました。悲歎の様は一様のものではありません。深いワケがありそうですから、

「それはお気の毒な。して、山伏を訪ねたところ、どういうことになりましたか」

「ハイ。世にこれほど口惜しいことがございましょうか」

隠居は泪ながらに当時のことを語ってきかせました。

お神隠し

山伏は隠居の話をきき終ると、

「よろしい。それでは祈ってあげるが、まず、これへ来なさい」