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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页

青空文庫

三宝山(真ノ沢山)、甲武信岳、木賊山(雲切山)

其処から西方の斜面を瞰下した景色が尤も高山的で、少し下ると懐しい偃松が盛に枝を延している、宛ら旧知の人に握手でも求めているように。地図には破不山とあるが、破風山の方が正しい字であることは言う迄も無い。七月の下旬に白石楠の花盛りを岩の上から眺めた快よさは、今も忘られぬ思出の一つである。

三宝山(真ノ沢山)、甲武信岳、木賊山(雲切山)

甲武信岳の絶巓に初めて立った時、何よりも先ず意外に感じたのは、附近第一の高峰であろうと信じていた此山の北に近く、われを凌駕する無名の高山が、儼然として聳えていることであった。信州梓山から四時間許りの楽な登りを続けた後、白檜や唐檜の茂った薄暗い林を抜けて、漸く急な斜面に掛ると、間もなく頭の上がぱっと明るくなって、すぐ痩ぎすな甲武信の頂上にひょこりと出た南日君と自分とは、登山の目的を遂げた快さを沁々と味う余裕も無かった程、この予期していなかった山の出現に気を奪われて了った。是が即ち三宝山である。標高二千四百八十三米三。日光の男体山よりも一米低く、浅間山よりは或は高いかも知れない。甲武信岳の東南には、近く二千四百六十八米六の木賊山がある。