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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页

青空文庫

下津川山

附近にあまり適当な野営地はない。

下津川山

小沢岳の頂上から北微東に向って草地を二十分も下ると鞍部に達する、この鞍部から下津川山の頂上までは四十分で足りる。初は草地で、次に岩石の露出した痩尾根となり、偃松石楠大米躑躅などが岩間に簇生している。頂上は小沢岳より狭く且高さも十六、七米低いが、二等三角点を取り巻いて岩塊の狼藉たる上に、偃松や石楠が枝を延し、四、五寸の小笹に交って苔桃、御前橘、イワハゼ、ウイキョウ、深山鍬形、三葉黄蓮など、山の植物も乏しくないので、確に小沢岳よりも高山相を呈している。頂上から東に出る沢は流れて北ノ谷となり、本谷と合してから小沢岳の東に発源する南ノ谷を容れ、東南に流れて小穂口山の西麓でブナ沢を併せ、小穂口沢となって利根川に注いでいる。本谷の瀑は細いが可なり高いようであった。

此山から西北に向って派出した尾根は、下津川と三国川の上流との間に蟠崛して、長い頂上を南北に展開した一座の雄大な山を聳起している。三角点の標高は千七百七十四米二と測られているが、最高点は中央に在って五、六米突は高いであろう。東から望めば破風の形にも見える。高さに比して実に立派な山で、殊に東面に懸る数条の長い雪渓が一しおの壮観を添えている。