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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页

青空文庫

、第3水準1-89-50)として終る所を知らず、更に頭を挙げて眺矚すれば、四周の大嶺天を摩して起り、近くは御岳、乗鞍岳、白峰赤石の諸山、遠くは富士の高嶺、越の白山など、ひとしく双眸のうちに入り、澎湃として岳麓をめぐれる暁雲の上に其青螺を露はして、大海に泛べる孤島に似たるを見る、風物の雄大は更にもいはず、その眼界の宏壮なる、亦以て海内の偉観と称するに足る、巓の東北に一池あり、玉池といふ、めぐり十町ばかり、地層の陥没せる所に雨潦のたまりしものにして、その色堆藍の如く、青嶼其中に浮び、白沙水畔を彩り、風景の瀟洒なる山上の湖としも思はれず、其南に当りて宝剣岳突兀として立てり、巌角を躡みて之に登れば、始めて来往せる白雲の間より、天竜川の一条の銀蛇となりて南走するを望む。

明る朝は少し荒れ模様であったが、日が出ると静穏になった。神官と連れ立って絶頂に登り、神祠の前にぬかずき、さて後ゆっくりと眺に耽った。天候が一変するらしく、高い巻雲や巻層雲が少し空に靡いて、非常な速度で東北の方に動いていたが、此処から見られる程の山は、四方を取り巻く雲海の上に姿を露わしていた。